走っていた。
ただ、ひたすら。
遥かな光を、求めて―
2
健は走っていた。
頭の中は混乱していたが、足はしっかりと目的地に向かって。
(何で…!)
普段冷静な人物がここまで焦燥している。
心なしか顔色も悪い。
何が彼をここまで追い詰めているのか。
「…っちくしょう!」
目的地まであと僅か。
とにかく一刻も早く行かなくては。
「…どういうことだよ、日向さん…!」
彼の真意を、確かめるために―
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日向小次郎が、ワールドユース本選出場を辞退した。
岬の交通事故に輪をかけるかのような出来事に、誰もが言葉を失った。
何故、日向が辞退をしたのか。
理由を聞き出そうと何人かで日向家を訪ねたが、生憎留守で、家はも抜けの殻だった。
誰も居なかった以上何時までもそこに居るわけにもいかず、渋々ながら、その日は引き上げたのだ。
しかし本選まで時間がないため、それ以降訪ねる機会はなくなってしまった。
けれど健は、どうしてもその理由が気になった。
一番付き合いの長い彼は、日向の考え、思いを分かっているつもりだった。
お互い、日本を優勝させようと誓いあった。
それなのに。
彼はチームから姿を消した。
自分に相談も無しに、理由も言わず、突然。
納得いかない。
サッカーが大好きな彼が、なんの理由もなしに辞めるなんてありえないのだから。
通いなれた道を辿れば、彼の家が見えてくる。
子どもの頃、何度も通った道だ。
角を曲がれば、見慣れた家が現れる。
「・・・・・っ日向さん、日向さん!」
玄関に着くや否や、健は戸を叩き、家の主を呼んだ。
様子を窺うと、トントン、と誰かが玄関に向かって歩いてくる音が聞こえたのでホッとした。
少なくとも誰かは居るのである。
「どちらさまで・・・・・若島津さん?」
出てきたのは日向の妹、直子だった。
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